全てを取り戻せし少女たち…
ベアトリーチェでは5人の御子が集結していた。
そこでは塔の全システムをコントロールできるといわれているデグリメントとアグリメントの連結作業が行われていた。
「くっ、未然に防げればよかったのに・・・」
デグリメントもアグリメントも既に手におえない場所に運ばれてしまった。
5人は破壊するしかないと考えていた。
だが、連結が行われている謁見室までには目の前の敵を倒さなければならなかった。
「フェンディル様の邪魔はさせないわ!」
行く手を阻むのはクローレンの五条家と七条家だった。
「優花! あなたはお金で釣られたのでしょ?」
「そうよ! 何が悪いって言うの?」
「あなたってそんなにお金に困っていないようなんだけど?」
「研究のためよ。どんな研究でもできれば、わたしはどうだっていいのよ!」
理子は呆れていた。
「なんなのよ、それ・・・」
「フッフッフ・・・。わたしの考えなんか読まれてたまるものですかってんだ!」
「ろくに剣も術も使っていないのは分かるわよ?」
理子はそう言って、優花の剣を叩き落とした。
そして、彼女の腕を後ろへまわした。
「な・・・っ!?」
「これが結果ね。たとえどんなに理論で語っても実力がなければここまでよ?」
優花から力が抜けた。
「・・・ごめんなさい! もうやめます!」
彼女から降参が願いだされた。
「うん。それでよし」
理子は快く受け入れた。
そして、別の人と戦っていた紀実を呼んだ。
「紀実! そっちはどう?」
彼女は言った。
「んー。優花が降参したから戦う義理もないって」
「わたしはただ言われたとおりにやっただけ。わたしが戦う理由はそれ」
ということで、五条家と七条家から5人に協力するということになった。
***
「連結、終了しました」
起動の準備が整ったようだ。
「よし、朱禰よ。アレを渡せ」
「ほーい」
朱禰はフェンディルに起動スイッチのようなものを渡した。
渡されると、彼はこんなことを言った。
「さてと、今から起動したら楽しみがなさそうだな・・・。そう思うだろ?」
彼は余裕だった。
朱禰は答えた。
「いいよ、どっちでも」
だが、彼女は珍しく疑問を持った。
「でも、どうしてこんな機械が必要なの?」
彼は堂々と答えた。
「そりゃ、もちろん、この大陸は塔が神の世界へと飛び立つものなのだ。お前ら御子たちは真の大陸を望んでいるのだろう?」
「あ、わたしはどっちでもいい・・・だなんて言ってられないね」
すると、彼女は薙刀をフェンディルに向けた。
だが、彼は動じることはなかった。
「・・・何のつもりだ?」
「あなたはわたしのおうちも無くすの?」
「・・・分かっているじゃないか。さすがアグリメントを持つ家系だな」
彼は朱禰に剣を刺した。
「な・・・っ」
「ご苦労様でした。おうちが無くなるのなら君にもいなくなってもらいましょう」
「やだ・・・よ、死・・・ぬ・・・の・・・」
彼女はそのまま倒れた。
「本当は塔から力を取っているのは大陸だ。大陸自体に力があるのなら塔が無くなろうが関係はない、ということになる」
フェンディルは何かを待つかのようにディグリメントの起動はまださせなかった。
「まだ来ないのか、我が友よ」
それを聞いていたのか、その『友』が正面の扉から入ってきた。
もちろん、彼女も一緒だ。
それを待ちわびたかのようにフェンディルは喜んでいた。
「フフッ。待っていたよ、君をね。いや、君がこの僕をまた裏切る時を、ね?」
「分かっていたのか、こうなるのを?」
フェンディルは人が変わったかのように話し始めた。
「そうだよ。僕は『神』になるんだ!」
「神になってどうしようというんだ?」
「何を言っているんだい? 君たちの望みを叶えてあげようというのに・・・」
性格が変わった彼はもはや違う、と思った米斗は態度を変えた。
「何を今更? お前は真の大陸なんか作るわけがないだろう?」
「ふーん・・・」
涼歌が割り込んできた。
「精神世界トリコロン・・・」
「そういうこと。君は知っているんだね、その世界のこと?」
涼歌は説明した。
「精神世界トリコロン。そこにわたしは一度行こうと思いました。しかし、米斗のおかげでその世界に行ってもいいことがないと分かりました」
「お、俺のおかげって?」
「精神世界は様々な意識が感じられます。でも、いいことばかりではありません・・・」
彼女は他にも、様々な意識があるから自分を密かに誰かが傷つけること、自分が思っていることや感じていることが相手にも伝わって、相手が傷ついてしまうかもしれない、などと言ってくれた。
だが、フェンディルは違った。
「何を言っているんだい? 精神世界だからこそ、相手のことなんか考えなくてもいいんだ。自分のことでさえ考えなくてもそこでは生きていけるんだよ?」
しかし、米斗は言った。
「考えなくてもいいのかもしれない。でも、涼歌の言うような世界かもしれない」
「・・・お前は分からないな」
「はぁ?」
「生きているのが楽になる。君は何度も苦を味わっているのだろ?」
「それでも・・・!」
一息置いて米斗は言った。
「それでも、それがいずれは楽しかったことになるんだ! 分からないのか?」
「僕には分からないな。だって、嫌なことが楽しいことだなんて、まるでいじめられっ子をいじめるいじめっ子じゃないか」
米斗は冷静になって言った。
「そうかもしれないな・・・」
米斗は一瞬涼歌を見てこう言った。
「涼歌は俺と出会う前まではずっと嫌なことだったそうだ。でも、俺を頼ってきてからはずっと楽しいって言ってる」
「うん。そうだね・・・。米斗の言うとおりだった。でも、わたしはわたしを頼ってきてくれる人がいたから立ち直れた。そして、わたしもそれに報いるかのように誰かを助けたいって思ったのです」
「お前ら・・・」
フェンディルは怒った。
「君たちとはどうやら分かり合えないようだね? さてと、野次馬も来たようだから始めちゃおうか・・・」
そう言うと、起動スイッチをディグリメントにとりつけた。
「遅かったのね!?」
米斗と涼歌の後ろから理子の叫び声が聞こえた。
「理子様!」
「それに皆様方・・・」
スイッチを取り付けられたようだが、まだ動きがなかった。
それを優花が言った。
「スイッチを取り付けただけじゃまだ動かないわ!」
彼女は諦めるな、と伝えるかのようにみんなに言った。
それを聞いたフェンディルはこう言った。
「そうだとも。この剣さえ挿せば起動する仕掛けになっている」
そう言って、彼は持っていた剣を取り出した。
「やめさせなさい、米斗!」
理子は久々に米斗に命令を出した。
それを聞いた彼はなぜか喜んでいた。
「・・・待ってましたよ、理子様」
彼は涼歌と共にフェンディルを止めに行った。
米斗の喜びを瑞穂は驚いていた。
「何よ、あいつは・・・」
「ふふっ。なんか久々だからついやっちゃいました」
「りこさまってば・・・」
7人はそのまま2人を見守ることにした。
***
「フェンディル!」
米斗はフェンディルをなんとか止めた。
「人は神にはなれない!」
だが、米斗の言葉にフェンディルは耳を傾けることはなかった。
「やめるんだ!」
反応がない彼を止めている米斗に涼歌は言った。
「もう、何も聞こえていないようね・・・」
「そうか・・・」
「フェンディルは神に操られているだけ。神になることはできないね、確かに」
「操られている、だと?」
だが、いつの間にか米斗の抑えからフェンディルは抜けていた。
「!」
急いで再び止めようとしたが、時は既に遅かった。
そして、装置に剣が挿された。
***
装置が激しく光ってみんなの目の前が真っ白になった。
「な、なんだこれは!?」
「きゃっ!?」
その中で米斗は隣にいた涼歌の手を握っていた。
「(涼歌・・・!)」
しばらくすると、装置は完全に壊れていた。
「大陸創世遺産が、見事に・・・」
優花はコアのアグリメントを拾い上げた。
「優花!?」
そばにいた科鈴が止めた。
だが、彼女は何かをしようとする気は一切なかった。
「ん? こんな時に何もするつもりはないわ」
「す、すみません。おかしなことを言ってしまって・・・」
「いいのよ。いつものあたしがおかしかったんだわ、きっとね・・・」
「優花・・・」
そして、ある1人が目を覚ました。
「一体、どうなったの?」
「理子様!」
「気が付かれたのですね?」
「ええ、まあ・・・」
優花たちは現状を話した。
「フェンディルがいなくなって、ディグリメントまでも壊れた・・・。そして、朱禰が殺されたの?」
「ええ。でも、死んでいないかもしれない」
「何言っているの?」
優花は説明をした。
「あたしは死を乗り越えたのよ! 本当の死はね、魂と肉体が完全に動かなくなることなのよ」
理子にはとても分かる領域ではなかった。
「優花の親殺しの噂は本当のことなんです・・・」
科鈴が言った。
優花は隠そうとは思っていなかったが、世間体が認めていなかったために噂と言う形になっていた。
「え? ただの悪い噂かと思っていたわ」
「その時のあたしはとにかくこの世界の全てを知りたかった。それを達成するには死や生までをも超えなければならないと思った」
理子からは何も言葉が出なかった。
「でも、あたし自身が死ぬわけにもいかなかった。どうしてか、あたしは親という最愛の対象を消すという非道な行為に出たのだ・・・」
「も、もういいわよ・・・」
「もしかして、怖いの?」
「そんなわけがありますか!」
いい加減怖くなったところで科鈴が止めた。
そして、優花はそれに従った。
「分かったわ。あたしが朱禰さんを何とかしてみせるわ」
「え、ええ・・・」
「ま、延命の応急処置はしてあるから、意識が戻っていないままああなんだけどね?」
もうついていけれる領域ではなかった。
「う、うーん・・・」
10分後、残りの人たちが意識を取り戻した。
「うーん、なんか一瞬どこか行っていたような気がするぅ・・・」
なんと、朱禰が復活していた。
「大丈夫なの、朱禰?」
彼女は答えた。
「うーん・・・。まだ、あっちで誰かが呼んでいるような?」
そう答えた彼女に対して理子は、
「だ、大丈夫なの・・・? なんか、今度は本当に死んじゃうかもよ?」
と慌てた。
そんな彼女に優花は、
「大丈夫よ。あたしがあらゆる術を解明して作りあげたんだから!」
と自信満々だった。
理子は優花を恐ろしく感じた。
そんな彼女をよく知る科鈴はさすがだという感じに理子に言った。
「大丈夫です。優花はこれでもまともだから」
それでフォローしたのかよ!?
そう思う理子だった。
***
結局ディグリメントの発動には成功してしまった。
しかし、今いるところがはっきりしていない。
「あれ?」
楓葉があることに気づいた。
「どうかしたの?」
「瑞穂がいないよ!」
確かに瑞穂だけがいないようだ。
まさかフェンディルに?
それが本当かのようにみんなは慌てていた。
でも、それが現実でなかったのは良かったと思った。
「ん? わたしがどうかしたの?」
瑞穂に聞くと、ここはベアトリスだそうだ。
全員、ディグリメントの発動の時に一層下に叩き落されてしまったようだ。
急に上から10人が落ちてきたのを見つけた住民は急いで八条宮に知らせて八条宮に運ばれていたようだ。
でも、それと同時にアグリメントとその残骸も一緒に連れてこられたのかは謎のままだった。
「ここがベアトリスなら、ベアルトリスは?」
「んー・・・」
瑞穂は空を見上げた。
それと共に理子、朱禰、優花、科鈴、楓葉の5人は空を見上げた。
「ここの上にカタパルトエッジがあるのは知ってるよね?」
「ええ。ここに直接来るにはカタパルトエッジの伍番機じゃないと来られないわよ?」
「うん・・・」
瑞穂は話を続けた。
「お母さんから聞いたけど、あっちにある岬ってところにみんないたとか・・・」
優花は言った。
「上から落ちてきたとか、そこに落ちたとか・・・、情報が確かじゃないわね・・・」
「瑞穂、本当なの?」
「んー・・・、よく分かんない」
それを聞いた理子は呆れた。
「あなたに聞いたのが馬鹿だったかも・・・。言っていることに何の関連がないもの・・・」
瑞穂はそのまま笑っていた。
それから10分後。
また一人意識を取り戻したようだ。
それに気づいた楓葉がみんなを呼んだ。
「みんなを呼ぶほどか?」
「米斗なのね!」
「あ、ああ・・・」
米斗は辺りを見回した。
「ここは・・・?」
「八条宮よ」
「八条宮!?」
さすがに彼も驚いたようだ。
いや、誰もが驚くだろう、ベアルトリスからここに来たことなんて・・・。
しかし、彼は今の状況よりも心配なことがあった。
「涼歌は? 涼歌はどこだ!?」
それには誰もが驚かないわけがなかった。
「え?」
「あ、ああ、あの子ね・・・」
「ほほー。こういうのも興味深いわ」
「ゆ、優花はともかく、米斗さんが変わった感じが・・・」
もはや、彼はそんな彼女らを見ていなかった。
米斗の声がうるさかったのか、他のみんなが起きてしまった。
必死に涼歌を探す声に涼歌が答えた。
「あのー、わたし、ここにいるから・・・」
それに気づいた彼は彼女の手を握ってこう言った。
「あ、ごめん・・・」
「もう、迷惑・・・かも」
「・・・俺としたことが・・・」
涼歌は恥ずかしそうにしていた。
米斗自身も我を取り戻して気まずくなった。
そんな仲を見守る他の8人。
「う、うらやましい・・・」
先を越された米斗をうらやむ理子。
「そうか・・・、これがアレなんだな」
何かを思う優花。
でも、人のこととなると彼女はどんなことでも喜ぶのだった。
「あ、あ、あの・・・」
2人の仲に困惑する楓葉。
「あぁ、やっぱりこうなるんだ」
予想通りになったと微笑む瑠梨。
「米斗、すばらしいお方に恵まれていますね」
紀実は状況を知って、2人を祝福した。
「こ、これって・・・」
あえて言葉を留める瑞穂。
「なんなのぉ?」
朱禰はまだ上の空だった。
8人の視線が2人の夫婦に向けられていた。
2人はそのまま笑うしかなかった。
言っておくが、2人の契りのことは他の8人は知らないが、状況からみて分かった。
***
落ち着いたところで、現状とこれからのことを話し合うことにした。
「えっと、わたしたちはディグリメントに巻き込まれてここに落ちてきた、と・・・」
優花が言った。
「そうね。それと、ここにアグリメントがある、と」
そう言って彼女はアグリメントを取り出した。
「これって今でも動かせるの?」
楓葉が質問した。
それを優花が答えた。
「コア自体は壊れていないわ。でも、これは本来のやり方でないとうごかないわね」
「じゃあ、またデグリメントと組み合わされるとってこと?」
「いや、デグリメントは完全に壊れたわ。」
「壊れたのですか・・・」
優花が言った。
「本来は二条家が代々受け継ぐ遺産であるアグリメント。これを単体で扱えるのは朱禰さんだけね」
「ほえ? わたし?」
とぼける朱禰に瑠梨が言った。
「それなのに、朱禰様は・・・」
「あはは・・・。すでにデグリメントがあるとは思わなかったのよ」
朱禰は笑ってごまかしていた。
理子は話を戻した。
「アグリメント、壊れたデグリメント、そしてわたしたち・・・」
紀実が言った。
「あの時の光は爆発の光だったんですね」
「じゃ、じゃあ、わたしたちは爆発で吹き飛ばされてここに・・・」
「そうなりますね・・・」
理子はベアルトリスがどうなったのかが一番心配だった。
「ベアルトリスはどうなってるの!?」
優花が言った。
「吹き飛ばされてから誰も上には上がっていないわ」
科鈴が付け加えた。
「むしろ、わたしたちが目を覚ましたのはごく最近のことだし」
「そう、よね・・・」
そして、理子はベアルトリスに行くことを言い出した。
だが、みながみな行きたいわけではなかった。
「危険だと思います。まだ何かがあるのかもしれませんよ?」
「それでも、わたしのお父様が・・・」
ここで、涼歌があることを言い出した。
「音譜のマグナ・カルタを探せば真の大陸を作れるんですよね?」
「そうだけど・・・」
「わたし、それをまず見つけようと思うのです!」
だが、米斗が反論した。
「待てよ。今はそれどころじゃないだろ?」
理子が米斗に同意した。
「あなたね、いくら関係ないからって空気を読んだらどう?」
「でも、真の大地が・・・」
「あのな。理子様は今真の大地より当主様である真之介様のご心配をしていらっしゃるのですよ」
涼歌そのまま黙っていた。
理子が言った。
「確かに真の大地を創ることはみんなの夢だわ。でもね、それより大切な物だってあるの。わたしの場合は家族」
他の御子達も理子に続いた。
「わたしは・・・」
朱禰は自分の家。
自分が一番落ち着けるから。
「わたしは・・・」
瑠梨は自分の剣を持ってこう言った。
この剣は大切なものを守るものです。わたしは自分の正義を守る、と。
「あたしは、別にたいしたものじゃないけど・・・」
優花は自身の信念が大切だと言った。
彼女にとっては『知ること』が一番自分でいられるからだ。
「わたしは・・・」
科鈴は探究心。
でも、優花と同じようでちょっと違う。
それは、優花に負けたくない一心だからだ。
「わたしはね!」
瑞穂は誰かを好きでいられること。
彼女は理子といられることがとても誇りに思い、守ってやろうという気持ちが強い。当然、ファンクラブとしても・・・。
「わ、私は・・・!」
楓葉は信じるものの全て。
彼女は紀実に憧れ、そして、紀実と共にある。
また、彼女を自分の信じる剣の道で守ることでもある。
そして、最後に紀実が言った。
「涼歌さん。こんなわたしでも、あるんですよ・・・」
彼女はただ単に『愛』と言った。
「みんが仲良く。みんなが納得いくことだけじゃないけど、わたしはみんなの笑顔が見たいの」
そして、彼女は涼歌に大切なものとは何かを聞いてみた。
「さあ、あなたは何か大切に思うものはある?」
涼歌は答えた。
「わたしは・・・」
そう言って、米斗を見た。
米斗は何も言わずにただ頷いた。
「わたしは、今はみなさんです」
彼女の話は続いた。
「みなさん、特に米斗に会うまではわたしには何もありませんでした。でも、米斗がこの世界に連れて来てくれたことによって、わたしは新しい自分が見えたの」
理子が言った。
「そうですか。嬉しいです、そう思えてもらえて」
そう言って彼女は米斗にこう言った。
「米斗、あなたのおかげね・・・」
「いえ。涼歌が動こうとしたからです。俺はただ涼歌を助けただけです」
***
結局、真の大陸のことは後回しになった。
ベアルトリスへは全員で行くことになり、そこの状況を確認しつつ、これからを決めるということになった。
「よし、明日の朝に伍番機から行くわよ!」
そう理子が言うと、全員その時間までに準備を始めた。
米斗は涼歌に呼ばれていた。
そこで彼女はこう言った。
「わたし、あの時何言ってるんだろうって思った。理子様がああいう状況だというのに、わたしは・・・」
だが、彼はこう言った。
「いえ、真の大地のことをみんなは思い出したと思います。あのまま言わなかったら忘れていたのかもしれません」
「そう、ですか・・・」
「はい。それでは、俺たちもここで準備できることをしますか」
みなはそれぞれ準備に取り掛かった。